ベトナム視察を終えて

 

 今回のミッションは、2004年1月に中川経済産業大臣がベトナムを訪問した際に提案されたものでした。
訪問団は、わが国を代表する民間企業の皆さまを含め、総勢63人が参加しました。
ベトナムは今、年7%以上という目覚しい経済成長を続けています。
その反面、上下水道や排水処理といった水環境や都市混雑などの環境問題を抱えています。
小泉総理が6月に日越首脳会談で訪れた際も、 カイ首相に「40年前に日本の高度成長の陰にあった失敗をベトナムに繰り返して欲しくない」と発言されました。
環境に関する経験や高い技術をもつ日本企業の代表者とともに、 政府と民間が一体となって環境分野における協力の手を拡げることが、今回のベトナム訪問の大きな目的でした。

 

ベトナム視察

 

 私にとっては、故渡辺美智雄元外務大臣の秘書官として同行して以来、 10年ぶりのベトナム訪問になりました。
首都ハノイに到着してまず驚かされたのが、その交通量。
道路がオートバイでごった返し、1台に3人や4人が乗っている光景に圧倒されました。
街並みも10年前とは比べものにならないほどで、その経済発展には目を見張るものがありました。
もう1つ驚かされたことは、空気の汚れです。
バイクを運転する人の中には、ハンカチなどで口や鼻を覆う人が多かったのが印象的で、 ホテルの近くを散歩したときも、空気の悪さから息苦しくなるほどでした。

 

 この都市混雑と大気汚染の問題は、鉄道網を整備することによって見違えるようになるという手応えを感じました。
具体的にはハノイにモノレール、ホーチミンに地下鉄建設のプロジェクトを検討しているようですが、 これらは利便性の観点からも非常に有効であると考えます。
3日目に催された「環境ビジネスセミナー」でも、バイオマス技術とともに、 日本の都市交通システムの最新の状況を紹介させていただきました。
こちらは当初の予想を大幅に上回る170人の参加者が出席され、 ベトナム国民の環境問題への熱意と日本の技術への期待の高さを改めて実感しました。

 

 到着2日目に視察を行ったのは2ヶ所。
最初に訪れたのがヴァンフックという村にある繊維の染色工場とそこを流れるニュエ川です。
この繊維工場は小さいのですが、ここから排水処理がされていない下水がニュエ川に垂れ流しにされており、 その水の汚れと悪臭は目を覆わんばかりでした。
次に訪れたのはハノイにあるナムソン廃棄物処理施設です。
この施設では、汚水処理設備が十分に整備されていないことから、 埋め立てられた廃棄物から出る汚水が貯められたままになっていました。
これら水質の問題は、わが国でもかつて経験し、克服してきたことであります。 ですから、日本の技術や経験がきっと役に立つはずであり、協力の必要性を痛感しました。

 

ベトナム視察 ナムソン廃棄物処理施設

ナムソン廃棄物処理施設

 

 ベトナム政府の閣僚の方々とも個別に会談する機会がありました。
今回お会いしたのは、ブ・コアン副首相、チュック天然資源環境大臣、ハイ工業大臣、ダット計画投資副大臣、 トウ交通運輸副大臣です。
いずれの会談においても、環境分野や電力・インフラ整備における日本との協力が歓迎されるとともに、 日本の技術やノウハウ(人材育成など)を活用したいという強い期待がひしひしと伝わってくるものでした。
今後は、今回紹介したプロジェクトについて、ベトナム政府や日本企業の動向に注目し、 政府として必要な支援を行っていくつもりです。
政府の資金・技術協力と企業の経験・技術とをうまく組み合わせながら 、環境及びインフラ分野における日・ベトナム共同の取組みを強力に推進してまいりたいと考えています。

 

 今回は本当に充実した4日間で、ベトナムが改めてすばらしい国であることを実感しました。
残念ながら、ベトナム料理に欠かせない、あの匂いのきつい香菜(パクチー)が今ひとつ苦手ですが、 まずはこれを克服して、今後もベトナムに注目していきたいと思います。
わが国も経験してきた通り「経済と環境の両立」は決して不可能なことではありません。
今回のミッションが単に言葉の交換に終わることなく、 そのひとつひとつを着実に実現していくことが両国の発展と友好につながると考えます。
今後も更にベトナムとの協力関係を強化し、今回の訪問がその大きな一歩となることを願ってやみません。

 

 最後にこの場をお借りして、実り多かった今回のミッションにご参加いただいた副団長の (株)荏原製作所の藤村宏幸名誉会長を始めとする企業の代表者の皆さまに心から感謝申し上げるとともに、 今後のますますのご活躍を期待申し上げます。


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