荻原健司参議院議員と教育対談 ~其の2~

 

荻原議員

 もうひとつ気になることは、学校で運動をいくら頑張っても、次につながっていかないということです。これまで日本のスポーツを支えてきたもののひとつに「企業スポーツ」いわゆる実業団があります。僕もその一員でしたけど、いま経済がよくないという厳しい現実の中で、ことごとく休部とか廃部になっているんですよ。その結果、スポーツをする子供たちが高校・大学を卒業しても受け入れ先がない。ですから結局、親も「そんな運動なんか頑張ったってね、メシなんか食えないんだから辞めなさい」なんて、子供にアドバイスするんです。これでは、子供たちが夢や希望を持ってチャレンジしようにもできない、したところで報われる環境にない。これが非常に残念です。そこを何とかしたいということで、新しい仕組みをいろいろと考えているんですけどね。

 

 あと、僕は今、「アンチ・ドーピング」の問題に力を入れておりまして、そう言えばおこのぎさんは文部政務次官をなさっていた時に、第 1回目の「スポーツにおける薬物使用に関する国際サミット」に参加されましたよね。

 

おこのぎ

 そうそう、ちょうどシドニーオリンピックのときに行きました。

 

荻原議員

 当時、閣僚級でご出席されたのはおこのぎさんとカナダのスポーツ担当大臣など、わずか数カ国だけだったんですよね。ですから、日本という国はドーピングの取組みに対して非常に積極的で熱心だという評価が、そのときにはあったんですよ。これは私たちスポーツ界にとっては非常にありがたい話でした。ところがその後からは、日本から出席するのは文科省の官僚の方になってしまいました。諸外国はそれから大臣クラスを送り込んできてるのにですね。これでは、世界からは「日本は怪しいことやってるんじゃないかな」ってグレーな目で見られるんです。そうなると、日本は国際大会には呼ばれなくなる。アメリカではもう、ブッシュ大統領が今年の一般教書演説の中でドーピングの撲滅について触れているぐらいです。やっぱり「バレなきゃいい」だとか「勝利には近道がある」という風潮があるのは絶対にいけないことだし、これからの若い選手や子供たちにとっても、影響が非常によくないと思うんですよね。実は今年の10月に「アンチ・ドーピング条約」が採択されるんです。ですから僕は、先日の国会の質問で「大臣が行ってください」とお願いしたんです。

 

おこのぎ

 そうだったんですか。ドーピング問題以前にスポーツそのもの、そして文化や芸術に対しても、日本はお金をかけていないんですよ。

 

荻原議員

 それは本当、おこのぎさんがおっしゃる通りです。それと今、学校では部活動が非常に衰退しています。ひとつは、学校の先生方の「サラリーマン化」が進んでいること。土日は必ず休ませてくれ、と。昔はもう休みであろうと生徒と一緒に練習したりだとか、やっぱり熱血な先生方がいて、そのおかげで僕もここまでやってこれたというのがありますけど、今はそういう先生が少なくなってしまいました。もうひとつは、「教員の高齢化」ですよね。子供たちと一緒に運動もできない。そして、あと10年もすればその団塊の先生方がポーンと抜けてしまいますので、その前にはもう少し循環を図れるようにと思います。

 

おこのぎ

 教員の採用についてですが、今は教育実習の期間が4週間でしょう。私はこれをケタはずれにもっと1年とか2年とかバーンと延ばして、その間じっくり先生たちを研修させたいと思っているんですね。教師にいろんな経験をさせて。例えば、サラリーマンでも町工場の工員でも、それこそ希望者がいれば自衛隊で様々な体験をしてもらったり。これを国が支えてあげる。

 

荻原議員

 僕が今ちょっと懸念しているのが、「教員育成のための大学院構想」ですね。優秀な先生を育てるのはそれはそれでいいことだと思うんですよ。ただ一方では、もうとにかくガリ勉タイプの先生ばっかりできちゃう、と。そういう先生だけをつくるようではいけないと思うんですね。ですから是非、スポーツ選手にも教員になってもらいたいですね。スポーツを通じてチームワークだとか、遠征なんかで他の国の文化に触れていたりだとか。単に机の上で一生懸命勉強して優秀な教員になった方とは違う資質を持っているんだと思いますし。

 

荻原健司参議院議員と教育対談

 

おこのぎ

 文部政務次官の時にですね、正式に雇用されている正職員より、臨時採用の先生の方が子供たちに好かれるって話も聞いたことがあります。アルバイトしながら社会でいろんな経験をして教え方も上手いし、子供たちの扱いにも慣れている。ある時、教育関係者にお願いして、いわゆる「ガラの悪い学校」を紹介してもらって視察に行ったことがあるんですよ。そこはかなりひどくて、もう教師は駐車場に車が一切止められない。帰りにボコボコにされるからですよ。中に入れば、その辺にタバコの吸殻が捨ててある。で、10クラス以上、授業をのぞいたんですけど、本当に生徒がシマを作ってぺちゃくちゃしゃべっているんです、授業中に。それでも先生は先生で淡々と授業を進めていて、「おいおいおい、ちゃんと聞けよ」って言いたくなるんですよね。ところが、ひとつだけ生徒みんなが先生と黒板に集中しているクラスがあるんです、賑やかなんですけど。その先生は若いんです。茶髪でピシッとした格好をしているわけじゃない。それで、生徒が何か茶化すようなことを言うんですよね。だけども、「うるさい!」とかじゃなくて、1回ね、それを受けるんですよ。受けてまたパッと授業に切り替える。とにかくまとまっているんですよ。そういうところを、校長とか教頭とか町の教育委員会とかがちゃんと見ているのかなあ、と。私はかなり前から教員をしっかり評価してあげるシステムをつくるべきだと言ってきたんですね。それでついこの間、ようやく「教員免許更新制度」を取り入れる改革案がまとまったようです。これは5~10年ごとに教員が講習などを受け、その能力を定期的にチェックするもので、これによって、先程のようなよい先生がやる気と使命感を持って教育ができるようになるのかな、と。

 

荻原議員

 そう言えば、今日の新聞に全国の公立の小中学校で「指導力不足」と認定されてた教員が 566名もいるという記事が載っていましたよね。こんなにいるんだな、って驚きました。

 

おこのぎ

 やっぱりですね、親も教員もそうなんですけど、上に立つ人が能力を見抜いてあげる、そしてその長けている能力を伸ばしてあげることが大事なんです。これがないから、今の学校教育はどうしても「平均的な育て方」になってしまうんですよ。運動会の徒競走で順位を決めないなんて、やっぱりおかしいですよ。競争した上で、相手を思いやる心も育む、このプロセスこそが真の教育だと思うんです。

 

荻原議員

 もっとバリバリ競争させるような環境が必要だと思いますね。僕なんかは姉弟がたくさんで、特に双子の弟がいて、どうしても「誰にも負けたくない」っていう気持ちが強くなったんだと思うんです。今の子供たちには、仕事でも勉強でも何でもいいので、こういった「チャレンジ精神」をもっと喚起していって欲しいと思います。チャレンジした結果、いい職を見つけるとか、いい収入に結びつくとか、やっぱり「努力が報われる」という社会が必要だなと思います。

 

おこのぎ

 確かに。こういう調査結果があるのをご存知でしょうか?「将来に希望を持っているか」という質問を日本と中国の中学生にしたところ「大きな希望を持っている」と答えた中国の子どもは91%、これに対して日本の子どもはわずか29%だそうです。今の日中の姿を如実に表しているデータだと思います。

 

 この国を支えるのは何よりも「人材」であり、つまりは子どもたちをどう育てていくかにかかっているといっても過言ではありません。これは国が責任を持って取り組むべき課題です。

 

 ですから、私は国会議員になって以来、一貫して「教育問題」をライフワークとしてきました。日本の将来を背負っていくのは間違いなく子どもたちなのですから。

 

 日本が活力を取り戻すためには、こういった社会を我々のような若い世代の政治家が正していかなければならないんですよ。生まれてくる子供たちのために。これからも力を合わせてがんばりましょう。今日は楽しい対談でした。どうもありがとうございました。

 

荻原議員

 ありがとうございました。

 

荻原健司参議院議員と教育対談

 

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リンク: 参議院議員おぎわら健司オフィシャルウェブサイト

 

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