「原子力」のこと、知ってますか?
2004年12月21日に青森県の六ヶ所村にある再処理施設でウラン試験が開始されました。
これに先駆けて私は政府の代表として11月24日に現地施設の視察に行って参りました。
この視察で私は原子力の必要性を再認識するとともに、幾重にも整備されたセキュリティー体制に、その安全性を強く確信しました。

この再処理工場で行われるのは「核燃料サイクル」です。
「核燃料サイクル」とは、原発で燃やしたあとのウランからプルトニウムを取り出し、燃料として再利用することをいいます。
京都議定書の発効を間近に控え、温暖化防止対策はまさに急務といえます。
経済産業省でも「増税なき目標達成」を目指してあらゆる対策を検討しているところであります。
電力もその重要項目の1つであり、現状の火力を中心とする発電量を維持するのであれば、CO2の削減目標の達成は難しいように思えます。
現に2003年は原発停止の影響で排出量が対1990年比で4.9%増大したといわれています。
この点、原子力発電は言うまでもなくCO2の排出がほとんどありません。
地球温暖化防止の観点からも原子力は有力なエネルギーなのです。
その代わり、使用済み燃料の処理という大きな問題があります。
これまでは地中深くに埋蔵する方法を取ってきました。
この場合、放射能漏れを心配する地域住民の反対により、埋蔵地の選定が難航するのが実情であります。
しかし再処理を行えば、そのほとんどを燃料として活用できるのです。
ただし、使用済み核燃料の再処理にはどうしてもコストがかかります。
先頃、原子力委員会がこの再処理と埋蔵のコストを比較した試算を出しました。
これによると単純な比較ではやはり再処理の方がコスト高であるという結論でしたが、総合的に考えると実は埋蔵する場合にもそれ以上のコストがかかるのです。
まず、現在建造されている再処理施設がムダになるわけですし、それを取り壊すにもやはり費用がかかります。
また、埋蔵施設にも限界があり、いっぱいになるとこれ以上稼動できないわけですから原発を停止させなければならず、その結果、大きな経済的損失が予想されます。
このため、核燃料サイクルを進めていくことが現段階において最善の選択肢であると考えます。
しかし、課題も残されています。
六ヶ所村の施設で処理できる使用済み核燃料が年間で800トンですが、全国の原発で1年に排出される核燃料が1000トンなのです。
残りの200トンは同じく青森県のむつ市の中間貯蔵施設などで一時貯蔵される予定なのですが、住民の間では「永久に貯蔵され続けるのではないか」という不安があるようです。
この不安を取り除くためにも、新しい再処理施設の増設など、国民に理解を求め、効果的かつ安全な政策を提言していくことが我々政治家の役割であると思います。
国民の皆さんの中には未だに「原発は危険」というイメージを持たれている方も多いように思えます。
確かに2004年8月には美浜原発において11名の方が死傷されました。
お亡くなりになられた方に対しましてご冥福をお祈りするとともに、再発防止に全力を尽くさなければならないことは言うまでもありません。
しかし、我が国においては原発が稼動して以来40年間、原子炉からの放射能漏れなどといった大事故は一度も起こしたことはありません。
日本の原子力の安全性は世界に誇れるものであると胸を張っていいと思います。
それでも原子力の将来に不安を抱かれている方もいるかもしれません。
では、交通事故が危ないからといって車の運転を禁止すればいいと考える人はいるでしょうか?
もしそうなれば、瞬く間にこの国の機能がストップしてしまいます。
事故を最小限に抑えるためにあらかじめ道路交通法を強化したり、交差点に信号機を置いたりするのが政治家の仕事であり、国の仕事なのです。
ちょっと極端な例えでしたが、あらゆる危険に対処できる施策を国が責任を持って整備しているという意味では原子力も同じです。
原子力の危険性だけがクローズアップされて一人歩きしているのは何だかおかしな話のように思えます。
皆さんの身近なところでは今、ガソリンの値段がどんどん上がっています。
これは産油国の発言力が原油価格に強く影響していることにもよります。
これは資源の乏しいわが国の弱点であります。
エネルギーを安定的に供給するためには、石油のみならず風力などの新エネルギーを利用したりと、選択肢を広げていくことが重要なのです。
中でも原子力はもっとも有効な手段であり、わが国が原子力というカードを絶えず持っておくことこそが国益につながると私は考えます。

余談になりますが、島国である利点もあります。
排他的経済水域といって、日本は島国であるがゆえに、漁業など独占的に経済活動が行える海の領域が広いのです。
もちろんこの海域では、海底に眠っている石油や天然ガスなどの資源を採掘することもできます。
東シナ海で日本と中国の経済水域が接しているのですが、この境界線のギリギリのところで現在、中国がガス田の開発をしています。
この鉱脈が地下で日本側に通じている可能性が高いことから、日本は中国政府に情報提供を求めているところなのです。
もしこれが事実であれば、わが国の領土を脅かす重大な問題です。
この主権の侵害のおそれがある事態に、わが国は毅然とした態度で臨まなければなりません。
引き続き情報提供を強く迫るとともに、今後は日本独自でも海底の調査を行わなくてはなりません。
そこで経済産業省ではこの重要性を財務省に訴え、最新鋭の資源探査船の建造費を来年度の予算に盛り込むことができました。
原子力の安全性を根気強く訴え、国民の皆さんに広く理解してもらうことが、今の私に与えられた責務だと確信しております。













